60代おひとり様、元幹細胞研究者で今は小さな会社を経営しながら、愛猫のレアと日々奮闘している「ねこのミー」です。
さて、60代おひとり様の引越し奮闘記、今回で4本目となります。
前回は、前日の梱包作業にやってきた「自称プロ」のオバサマによる、あまりに惨いパッキングと衝撃のゴシップ話についてお伝えしました。 今回は、いよいよ迎えた「引越し当日」のドタバタ劇について書き残しておこうと思います。
まさか当日にまで、これほど「安さの代償」を思い知らされることになるとは……。
愛猫レアちゃんを背負って、いざ出陣!

引越しの朝は早いものです。 まずは何より、大切な同居人であるチンチラゴールデンのレアちゃんのケアから。丁寧にブラッシングをして、ご飯をあげ、トイレを済ませたのを確認してから、キャリーバッグへ。
実は、レアちゃんを背負うタイプのキャリーに入れたのには理由があります。私の背中越しに私の「臭い」を感じられる場所が、不安な移動中、彼女にとって一番安心できると思ったからです。
8時半の約束でしたが、インターホンが鳴ったのは9時。 現れたのは若者5人のチーム(女性2人、男性3人)でした。
「これ、入りきります?」若手リーダーの不安な一言
リーダーらしき男子に、新居のレイアウト図と段ボールの配置番号を渡すと、開口一番こう言われました。 「え? これ、だいぶ狭くなりますよね? これだけ入れたらいっぱいになりますよ」
……いやいや、元々住んでいた部屋と広さはそれほど変わらないんですけれど(苦笑)。 どうやら荷物が多い家への対応経験が少ないようで、若干の不安がよぎります。 それでも、前日のオバサマがガムテープを使い切って放置していった箇所などは、手際よくパッキングして運び出してくれました。
絶句!食洗機の中に食器が入ったままパッキング?
作業が進む中、一番驚いたのが電気屋さんの言葉でした。 洗濯機と食洗機の取り外しに来てくれた方が、パッキング済みの箱を見て一言。
「食洗機の中に食器が入ってましたけど、そのままパッキングしましたんで」
えっ? 声をかけてくれれば出したのに! 自分では空にしたつもりでしたが、一点の曇りもなく「そのまま包みました」と言い切る電気屋さんの判断基準に、私はただ呆然とするしかありませんでした。まさに、あとの祭りです。
さらに、お願いしていたはずの「照明の撤去」も、こちらが指摘するまで忘れ去られていました。「あ、そうなんですね」とサクサク外してはくれましたが、本社の指示系統はどうなっているのかしらと、元PI(研究主宰者)としては管理体制を疑わずにはいられませんでした。
4キロの猫と、重すぎるスーツケースの移動
運び出しが終わると、私はタクシーで新居へ向かいました。 引越し業者は、ガスカートリッジやアルコール消毒液などの危険物は運んでくれません。 それらを貴重品や猫のフードと一緒に詰め込んだスーツケースは、恐ろしく重い……。さらに背中には4キロのレアちゃん。
救いだったのは、タクシーの運転手さんが猫好きの良い方だったこと。 車内での猫談義に花が咲き、少しだけ張り詰めた心が解けました。
新居で広がる「絶望の山」
新居に着くと、嵐のような搬入作業が始まりました。 段ボールには「すぐに必要」「後でいい」といった印や、配置場所の番号をしっかり記入してあります。 しかし、現実は非情でした。
- 段ボールの向きがバラバラ:番号も印も見えない向きで積まれている。
- 「すぐ必要」の印は完全無視:開梱しないと何が入っているか分からない状態。
- 納戸の箱が5段積み:以前の業者さんはラックに収めてくれたのに、ただ高く積むだけ。
- 家具の配置ミス:若者が「こっちの方がいいですよ」と、言って壁際に家具を寄せてしまい、電源を塞いでしまっている。
「じゃあ、これで終わります」と風のように去っていった彼ら。 残されたのは、番号も場所もバラバラに積み上げられた段ボールの山でした。
教訓:安さとは「ノウハウの欠如」である
今回の経験で痛感したのは
「安い=経験が浅く、ノウハウを持っていない担当者が来る」
ということでした。
昔、引越しをした際に出会ったベテラン作業員さんたちのことを思い出します。 彼らは高齢ながら、家具に傷をつけない運び方や、後で開梱しやすい積み方の「ノウハウ」を持っていました。
合理化された現代社会では、こうした「個人のスキル」や「熟練の知恵」が軽視されがちです。 ですが、私たち60代がこれからの人生を快適に過ごすためには、目先の安さよりも、そうした目に見えない価値(ノウハウ)にお金を払うべきだったのだと、深く反省しました。
今回の引越し作業は、まるで「指示書(プロトコル)を読まない学生に、大事な実験の片付けを任せてしまった」ようなものでした。作業自体は終わっていても、データの整理(荷解き)が絶望的に困難になる。やはり、熟練した技術者の「経験値」という変数を侮ってはいけませんね。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
その日は、何もする気が起きず、残ったワインを片手に、レアちゃんと一緒にゆっくり眠たのでした。
また、続きを書きます。お付き合いのほど、お願いします。
