ずっとテフロンのフライパンだった。
すぐにダメになるので、たいてい1年に1度買い替える。
面倒なので、フライパンを使う料理をしなくなる。
ということを繰り返していた。
脱アカして、企業に勤め、企業を辞めて、起業して、時間ができて、ふと、鉄のフライパンを買った。
昔に比べると、かなり使いやすくなっている。それでも、きちんと使わないと使えない。
フライパンをガス台の上に置いて、火をつけて煙が少し出るくらいになったら、たっぷりの油を入れてひと回しして、その油を捨てて、新しい油を入れる。
使い終わったらすぐに水で流して、タワシで洗い、水気を切って、火にかけ、少しの油で薄くのばして火を止める。
テフロンなら、熱いまま水に浸けるのはダメだし、放置がむしろいい。
どう考えても鉄のフライパンは面倒だ。
だが、鉄のフライパンを久しぶりに買って、料理を作ってみると、なんだ、これは!と驚くほどに味が違う。これまでテフロンで食べていたあの味はなんだったんだ、驚愕するほどに美味しい。
どっちが本当なのか、わからない。
だが、鉄のフライパンで焼いた料理は、本来の食材の味がするような気持ちになるのだ。鉄のフライパンで焼いた料理を口にすると、なんとも言えず、幸せな気持ちになる。
私は鉄分が不足しているのか?
だとしても、これほどまでに美味しく感じるのは、なぜなのだろう?
ゆえに、面倒でも鉄のフライパンを使うのを辞められなくなった。
自身で起業し、自分の会社で、オフィスもなく、自宅で仕事をする生活だからこそ、使える自由な時間。この時間があるから、鉄のフライパンを使える。
だが、生まれて初めて、人間らしい生活をしているような気持ちになる。
幸せな朝ごはん。
キッチンで食べていると、猫がやってきて、にゃあ という。
いや、君がね、最近、テーブルにどかって乗ってるから、私がそこでご飯が食べられないのだよ。
にゃーーー!ダメだよ。ちゃんとテーブルで私の傍にきて、ご飯を食べるの。
と言ってるように鳴く。
普段は、ほとんど鳴かないのだが、何か要求がある時に、鳴く。
鳴き声は、いろいろある。
にゃ”あ、と濁音が付いたオバサンのような鳴き声の時は、相当に要求が強い時で、たいていは、「早くご飯食べたい」だ。
にゃあ、と、いかにも甘えた声で鳴く時は、抱っこの要求。うちの猫は、午前中ほぼぼ寝ているが、午後3時過ぎになると起きてきて、1時間に1回は抱っこを要求する。私がPCに向かって仕事をしていると、顔をうかがうように、にゃあ、一言なく。
ごめんね。ママ、仕事なの。もうちょっとね。
にゃああ。
ママ、忙しいの。もうちょっと仕事させて。
にゃあああああああ。
ああ、わかった。ごめんごめん。抱っこね。
主はたいてい負ける。抱っこはカウチの上でと決まっているので、私がPCの前の椅子から立ち上がると、猫はカウチに向かってダッシュする。そして、カウチの上で、目をランランと輝かせながらこちらを見て、尻尾を上にぴんとあげてぶんぶんと横に振って主が来るのを待っている。
私がカウチに座って横になると、お腹の上にどーんと飛び乗ってくる。
猫とは言え、4キロある。
このどーんは、なかなか応えるのだが、一方で、嬉しかったりする。
猫に愛されている。。。。幸せだ。
自宅でこうして仕事をしながらも、猫がいる。なんて幸せな生活だ。
いつまで続けられるか、わからないけれど、この一瞬のこの幸せを感じられるだけでも、十分幸せだ。
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