ワイン好き・ねこのミーの庭 パート2「猫とワインと美味しもの」

いつの間にか60代一人暮らし。断捨離しつつも、日々を楽しみ、美味しいものを食べ、愚痴を書いてます。

砂嵐の物語

さて、物語です。
 突然に外は砂嵐です。でも、この砂は砂漠から吹いているのではありません。人々の口から吐き出されているのです。時にくしゃみをして周り5m範囲にいる人々に大量に砂をかけています。咳をして、周り2m範囲にいる人々に砂をかけています。時に大声で叫び、向かいにいる人々の顔に向かって砂を吐きかけています。そのため、いたるところが砂だらけです。テーブル、ドアノブ、手すり、壁。しかし、砂に気が付かない人々は、その砂を触ってしまった砂だらけの手で、パンやピザを食べています。自宅に戻って、砂だらけの手でドアを開け、部屋に入り、ソファーに座り込み、砂だらけのダウンコートをバサッとソファーにおきます。砂は舞い上がり、テーブルに降りかかり、お皿やコップに入ってしまいます。やがて、その人も砂を吐き出すようになってしまいました。
 郊外では綺麗な風が吹いています。綺麗な風は人々に付いた砂を吹き飛ばしてくれます。それなのに人々はそれに気がつかず、砂だらけの部屋に閉じ籠っています。レストランは綺麗な風が吹くように工夫されていて、綺麗なお皿が出てくるのに、人々は気がつかずに部屋に閉じ籠っています。
 自分が砂を吐き出すようになったことに気がついた一部の人々はマスクをするようになりました。くしゃみや咳をしてもマスクで遮られて、周囲にたくさんの砂を吐き出さなくなりました。でも、砂は細かいので、すぐ隣にいる人には砂がかかってしまいます。砂を吐き出さない人々はマスクをしていますが、マスクには砂が溜まり、隙間からも砂が入ってきてしまいます。マスクをしていれば大丈夫だと思ってる人々は砂だらけのマスクを手で触り、ポケットに入れます。手を洗い、砂だらけのポケットに入ったハンカチで手を拭いてしまいました。そのため、せっかく砂を洗い流した手がまた砂だらけです。
 やがて、人々は皆、砂を吐き出すようになりました。少しなら体にはいっても害はありません。でも、たくさんの砂が入るのはよくありません。砂が付いた手や顔をこまめに洗い流して、砂が付いた手でパンを食べないようになりました。砂が付いたドアノブを触った後で洗剤を含んだタオルで拭き取り、玄関でダウンコートを脱ぎ、部屋の中に砂を持ち込まなくなりました。加湿器などで空気中の水分が多くなり、砂が水分を含むと重くなり床に落ちていきます。洗剤やアルコールで拭くと砂は溶けていきます。
 やがて、砂嵐は収まっていきました。
おしまい